連載第四十八回目

★番外編:インド・タイ旅行記
実はこの1/10~20迄、インドとタイに行っていました。元々、妻がガキを連れて行く予定で、前々からいつかは「人生観が変わるインド」に興味があったので、じゃあ俺も行ってみるかと。
いやあ、凄かったです。インドは人口1200万人のコルカタ(カルカッタ)と、ブッダが悟りを得た菩提樹のあるブッダガヤに行ったんですが、まずはコルカタの町が凄かった。一言で言うと、新宿とドヤ街の山谷が一緒くたになったような感じで、もの凄い喧噪。歩道も道路も大渋滞で、車やバス、リクシャ(人力車)、オートリクシャ(三輪車)はクラクションを鳴りっぱなし。歩行者お構いなしに走り回っています。
町の至る所では、日本で言う縁日の露店=印度料理、物販など=が営業していて、中には10歳の子供が大人顔負けで懸命に客引きや料理・接客をしています。安宿(一泊70ルピー=約170円)で7年前にもコルカタに来た日本人(大阪の民芸楽器販売)曰く「以前とは比べものにならないくらいの大発展」。詳しいことは調べていないですが、今の眠りから覚めた中国と同じく、この数年は経済的にも相当成長しているよう。私は知りませんが、戦後、敗戦から立ち上がった直後の、昭和20年~30年代の日本はこうじゃなかったのでは・・・と思えるほどのエネルギーを感じました。
一方、町のアチコチでは物乞いも多数。現地の人にとっては日本人が一番のカモ?のようで、私も100回くらい、子供~80歳の老人からお金を要求されました。町によって所得水準は格差があるようですが、インドを紹介した本によると、一般大衆の平均日収は100~200ルピー=250円~500円。日本の1/10~1/30といった感じでしょうか。
ですから、日本での感覚そのままで来た日本人は1日数百円で外食や宿泊ができ、ついつい財布の紐も緩みがちです。
私も最初は言われるままに物乞いに寄付?していましたが、2日目に行ったブッダガヤで、通常の10倍の値段で数珠を買わされるなど、騙されることが多くなって怒り心頭。3日目以降は物乞いや客引きを一切無視しました。
しかし、彼らの生命力はもの凄い。私が泊まったのは安宿ばかりですが、どこのホテルもフロントの人が出入り口に毛布一枚で寝泊まり。今のインドは1月の乾期で、コルカタの気温も昼間で25度、夜は10度くらいと意外に寒いんですね。それでも、一般大衆は水のシャワーや街頭の井戸水で体を洗い、朝から夜中まで「生きるために」懸命に働いています。
ブッダガヤはコルカタから約500キロ北西、急行列車で10時間ほどの田舎にありました。約2500年前ブッダが修行の末、悟りを開いた巨大な菩提樹の横に大寺院があり、ちょうど私が行ったときは、チベットの僧たちの巡礼週間。仏教発祥の地で、懸命に前身で祈る姿が印象的でした。
近くには、日本の寺院が共同で建てた「印度日本寺」があり、3~6歳?程度の幼児約100人を集めた、日本寺によるボランティアの授業が開かれていました。教師は皆、地元のインド人ばかりでしたが、幼児が「センセー!」と呼んでいるのは微笑ましかったですね。
ここブッダガヤでも着いてスグ、インド人2人から声をかけられ、結果としては木彫り仏陀や数珠を10倍の値段の約7000円で買うハメになったんですが、丸一日、ブッダガヤやスジャータ村=修行中のブッダにミルク粥を与えた女帝?スジャータがいた村をガイドしてもらい、騙されたことには腹が立ったんですが、まあ楽しめました。
インドの帰りは、飛行機の都合でタイのバンコクに一泊したんですが、ココも凄かったですね。1日目はバスや徒歩でバンコクを歩き回り、2日目はコンビニで見つけた在日邦人向け新聞「バンコク週報」編集長を飛び込みで訪ね、2年前にタイで起業33歳の半導体プログラムソフトの社長と屋台で会食しましたが、タイの経済は絶好調。
日本の1/5~1/10という賃金の安さや労働力の質の高さ、政治の安定などで、日本を筆頭に外資の投資が活発。昨年は7%の経済成長を果たし、今年も順調な成長が見込まれています。
この「バンコク週報」の杉山さんは、東京の編集プロダクション等を経て、趣味の旅行・バックパッカーの延長で6年前にタイへ移住。
福岡で言う「シティ情報ふくおか」や「ガリヤ」みたいなタウン誌も立ち上げましたが、日系企業・商店中心に広告売上も順調。発行部数は国内外で1万部ですが「充分、採算に乗っています」とのこと。中身は全部日本語で、読者対象は在タイ約20万人の日本人と年間120万人の渡タイ日本人。
大企業ではここでもトヨタやホンダが絶好調で、タイで生産した車を近隣アジアへ輸出。近年は日本の中小企業の進出が目覚ましく、タイの日本企業商工会議所メンバーは約1200社と、海外ではアメリカを抜いて世界一になったそうです。
この発展に加え、バンコクは亜熱帯地域で、私が行ったときも晩夏なみの気候で過ごしやすい。英語や日本語がそこそこ通じるので、海外放浪した日本人も数多く滞留しています。
ある程度の能力と語学力を持った日本人なら職には困らないようで、現地タイ人の平均賃金が約1万バーツ=3万円に対し、現地採用の日本人賃金は約3万5千バーツ=約10万円。現地では相当優雅な生活ができます。就職手段は、日本系人材派遣・紹介会社経由が多いようです。
33歳の日本人起業家は「日本へ帰ると暗い話ばかりだが、タイは好景気だし、生活も格段に過ごしやすい。まさに楽園です」。
単なる10日間の旅人の目から見たインドとタイでしたが、私もこのアジアにはもの凄い可能性を感じました。10年前に行った中国の上海や深センと同じ勢いがあります。
タイも大通りを一歩中へ入ると貧困街が多数在りますが、日本が忘れた昭和30年代のハングリー精神と生命力が有り余るほどある。感触としては、今の日本と正反対のパワー充満です。
タイやインドは格安チケットを使えば往復数万円。下手なセミナーや研修より、はるかに良いショックを受けますね。おすすめします。