連載第二十八回目

★負け犬女のキャッシュフロー大作戦が始まった!
2003年11月から翌年2月の間に、福岡市内にあるマンション2軒のオーナーとなり家賃収入を得る身となった私だが、これから私どうしよう?ここへきて、急に私は立ち止まってしまった。
当初の計画では、あと2軒買って月収25万円を確保し、計4軒のワンルームマンションを担保に融資を受けて、さらに買い増しをしようと考えていた。
ところが調べていくうち、中古のワンルームマンションには担保としての価値はほとんどないということがわかった。となると不動産の買い増しは難しい。しかし、毎月の不労所得が25万円あれば、平日の昼間に何か安定した仕事を見つけて、子どもが独立するまで何とか生活はやっていけるだろう。
今の私は不満を感じる状況ではないはずだが、なぜか、消化不良のような落ち着かない気分だ。本当にその生き方でいいのか?もっと夢を追求しなくていいのか?自問自答した。
キャッシュフローは、計画の半分だけは確保できた。今なら残りの資金を他の事に投入することができる。あと2軒買ってしまったらもう冒険はできなくなる。
2003年9月末に会社を辞め、無職になってからしばらくの間は株式投資に集中していたが、毎日株価とにらめっこしている生活というのはあまり張り合いがないものだ。自分が世界中の誰の役にも立っていない気がする。早く自分がやりたいことを見つけよう。
折しも、酒井順子さんの著書「負け犬の遠吠え」に出会ったのだ。
話題になっていたのでタイトルだけは知っていたが読んで驚いた。
30代の独身女性を自嘲気味に「負け犬」と呼び、そのライフスタイルや考え方を論じているのだが、そこにはまさに数年前まで私が漠然と感じていた不安感がそのまま語られている。
ふと、昔の同僚が何気なく言った一言を思い出した。もう7~8年も前のことだ。
「結婚をあきらめたわけじゃない。本当は子どもも欲しい。仕事もプライベートも充実してはいるけれど、自分の老後はどうなるんだろうって考えると不安になる。今の気持ちを一言で言えば、『着地点の見えない夜間飛行』だな。」
彼女は今も同じ会社で同じように働いている。きっと今も同じように、いやもしかしたら前以上に不安を感じているはずだ。思えば、私がマンションオーナーになろうとしたのも、自分の老後への不安感を払拭するためではなかったか。私がこれまでやってきたことを「負け犬」たちのために役立たせることはできないだろうか。
私は常々、「起業するとしたら、自分には何ができるだろう?」と考えてきた。これといった資格や特技があるわけではないし商才もない。好きなことを仕事にしたいとは思うが、とことんのめりこむような趣味もない。
しかしひょっとしたら、マンションオーナーになった経緯そのものがノウハウになるんじゃないだろうか?不動産のプロにはなれないが、株式投資×不動産投資の併せ技なら、私にしか語れない経験もなくはない。これもひとつのノウハウだろう。
女性が自立するためには、まず経済面をしっかりさせることが必要不可欠だ。お金で全てが買えるわけではないが、お金で買えるものはいろいろある。中でも一番は自分の時間だ。自分の時間があればじっくり自分と向き合える。自分を高めることもできる。
女性が経済的に自立する方法のひとつとして、マンションオーナーになることを提案し、できるだけ安くマンションを買うノウハウ、良いマンションの見極め方のノウハウを売ろう。これなら私も誰かの役に立てそうだ。そう考えると、「私の仕事はこれしかない」と思えてきた。
こうして私は2004年8月、『女性のためのマンションオーナー養成塾』を立ち上げ、きらくに合資会社を設立した。まだヨチヨチ歩きのひよっこではあるが、経済的に自立したい女性のためのサービスを順次立ち上げていっている。
福岡市内での飲食店出店、安全で美味しい食べ物を販売するネットショップオープン、自分の商品をネットで販売したい女性が小さくビジネスを始められるバーチャルマンション、自立を目指す女性のためのドミトリ計画などなど、新しい事業が目白押しで、やりたいことが山のようにある。
最近では、ありがたいことに、会社の趣旨に賛同して支援してくださる方があったり、業務提携の話をいただくようになった。また、人的ネットワークも徐々に広がってきている。
初心を忘れず、高い志をもって前進していきたいと思う。 (完)
==最後に=========================
最後まで読んでくださった皆様、どうもありがとうございました。
何の経験もない私が、由緒ある SOHO’s Club News メルマガにここまで書いてこられたのは、ひとえに、読者の皆様、アドバイスくださった諸先輩方、優秀なスタッフや温かく見守ってくださる支援者の方々のおかげです。また、いつかどこかでお目にかかれるよう、精進してまいります。
そして、最後になりましたが、ここで書くチャンスをくださった、SOHO’s Club 主宰の中村香織さんにこの場をお借りして心からお礼を申し上げたいと思います。中村さん、本当にどうもありがとうございました。

きらくに合資会社 木本直實