第二回 公開SOHO談義

第二回 SOHOネットワークの問題点

中村 こんばんわ。SOHO’s Club の中村です。
尾形 こんばんはSOHO’S WORLDの尾形です。今日は第2回目ですね
中村 そうですね。今日のテーマは「SOHOネットワークの問題点」について
尾形 はじめに私たちのネットワ-クについて簡単にどんな団体なのか説明しましょう。
まずは中村さんのほうからどうぞ
中村 SOHO’s Club ですが、基本的に会員の方は「SOHOである、SOHOに興味・関心がある」といった風にかなり間口を広くとっています。主旨としては、SOHOネットワークを作ることです。よく誤解されるのですが仕事の斡旋や紹介が目的ではありません。会員の方へのお仕事の依頼が今までよりももっと増えてくれば可能ではありますが、現状はなかなか難しいところです。
尾形 私はSOHOはプロフェッショナルだと考えます。だからSOHO’SWORLDのほうは初心者の方やぶら下がり的な方の入会はお断りしています。資金と時間があれば初心者の方の研修の場をつくりたいとも思いますが私自身SOHOでわずかな自己資金で運営していますから、どうしても即戦力になる人材重視になっています
その代わり実際に仕事をSOHOのネットワ-クによってこなしています
中村 そういう意味で、SOHO’SWORLDは仕事主体な団体なわけですね。 SOHO’s Club とはまた違った主旨ですね。
尾形 そうですね、基本的な理念は同じですが現在の所、どちらかというと実務中心になっています
中村 では、営業やプレゼンなどもなく、いきなり「仕事を下さい」って言ってくる人はいますか?(私のところはたまにいます)
尾形 おおいですよ
中村 そういった方に対する対応はどのようにされていますか?
尾形 在宅勤務したいから仕事くださいというメ-ルが来ますね。申し訳ありませんが、趣旨を説明してお断りしています。
理解頂けたらあらためて登録してくださいとね
中村 そうですよね。SOHO=在宅勤務と必ずしもいかないのではないかと思います。
SOHOは家でじっと仕事をするだけではなく、自分から営業にでかけなくてはならないと思うのです。
尾形 登録していただいても仕事を出す事はできませんし、私自身が忙しく中村さんの所のように情報提供に時間をさけないため名前の登録だけで終わってしまうとかえって期待外れになっては皆さんに申し訳ないので。近頃SOHOのネットワ-クをつくる為のペ-ジをよく見かけますがいろいろ問題があるようですね。
中村 そうですね。ただ、せっかく作るのだったら、私たちのようにつながっていければいいのではと思うのですが、主旨がずれると難しいと思います。
尾形 ほんとですね。
SOHOの登録者からお金を集めている所では認識の違いによって揉め事が起きているという話も聞きますしね。
中村 ボランティアでは限界があるのは確かです。もともと、私が SOHO’s Club をはじめたのは、自分が期待しているような団体がほとんどなかったので、自ら主宰者になって立ち上げようと思ったわけです。でも、やはり不満をもっている方もいらっしゃるようで、なかなか大変だというのが現状です。
ただ、会費制にしないのは、
中村 (1)SOHOは会費を出すだけの余裕が(現状では)ない。
中村 (2)会費制にすればそれだけ質の高いサービスを求められる。
中村 (3)仕事の依頼を大部分のところで求められる。
中村 といったことからです。(私が会費を出して会員になったら望むだろうと思うところからですが)
残念ながら現状では少額の会費でここまでのサービス提供をできる段階ではありませんし、またどこでもそうなのではないかと思います。
尾形 SOHOのネットワ-クは必ずしも一つの巨大組織にならなくてもいいと思っています。SOHOのグル-プがいくつもできて何か大きな事をする場合に協力できる体制さえあればいのですからね。
中村 そうですね。つながる(結合する)ことはあっても混ざり合ってはいけないと思います。
尾形 プロジェクトによって”混ざる”ならいいと思うんですが、どこかがネットワ-クつくりを営利目的でする事には問題があると思います
あくまでSOHO同士が仕事をしていくなかで利益を上げていく事が目的ですから運営している方がSOHOからお金を集めるようでは何か違うと思ってしまいます
中村 会員(スタッフ)を募ってSOHOネットワークを作ろうとしている企業もありますが、一SOHOの私からみれば「便利な下請け」を集めているようにみえるので、SOHOの思いとつながらない部分がでてきてなかなか難しいのではないかと思います。やはり、SOHOの気持ちはSOHOにしかわからないと思います。現状では色々な問題があって傍目よりかなり大変な思いをしてるのではないかと思います。
尾形 私の場合は企業と同じだけの仕事をこなせる仲間がほしかったのがはじまりですね。会費を取って運営するところはサ-ビス内容をもっと明確にしなければ行けないような気がします
中村 SOHOはいい意味で「個々の確立」が必要だと思いますので、それぞれが自立していてネットワークを作るのが理想だと思います。どこかがそれを利用し営利目的で動くのはちょっと違うとは思いますね。
尾形 そうですね。例えば通信回線の提供や情報提供などをしていくのに資金が要るのであれば内容を公開し、お互いが納得した上で会費を集めるなら問題ないのかもしれませんが、趣旨のあやふやな団体も存在していますしね、SOHOの方は結構混乱している所もあるのではないでしょうか
中村 ただ、SOHOの社会的地位が低いため、どこかに所属しているといった安心感や一体感がほしいのではと思います。
尾形 その気持ちは良く分かります。ただ皆さんに理解していただきたいのは、運営しているものが会員の上の立場ではないという事です
運営している側もSOHOで立場的には横並びです
企業や営利目的の団体が運営している場合はまた話が別ですが。
中村 そうですね。ただ主宰しているだけで立場は同じと考えてもらいたい。もちろん、情報等の提供はしますが、それを受けるばっかりでは上下関係ができるばっかりです。誰が上だとか下だとかではありません。SOHOは同じ位置にいるべき仲間です。
尾形 そうですね。
中村 でも、主宰者や運営者に対して、「指導者」的なものを求められているのが現状です。ネットワークを作るのはSOHOなら別に私たちでなくてもできるはずです。
尾形 だから会員の方が仕事をとってきて”さあ、やりましょう”というというのが理想ですし、SOHO’SWORLDのほうはそんな風に動いています。これからはSOHO’S
CLUBと合同でできる仕事も出てきそうですしね、いろいろと楽しみです。
中村 そうですね。仕事をしていく上で作り上がる信頼関係みたいなのは、理想ですね。
実際に仕事をしていくには、「同業種」・「異業種」のSOHOネットワークが必要です。しかし、実際に自分たちでとってくる仕事は「同業種」の方の協力が必要な場合が多いですね。ですので、小さいネットワークでもいいからまずは仕事を手伝ってくれそうなSOHO仲間を「自分から探してみる」というのが大切だと思います。また最近では「営業を担当するSOHO」と「技術を担当するSOHO」といった風に(あくまで柔軟にですが)分担できるようになれれば良いネットワーク関係が築けるのではと思っています。
尾形 企業は個人との契約をしたがらないあるいはできない事情があって、SOHOの多くは孫受けてきな仕事をしている方が多く、なかなか単価の高い仕事が来ないという声を聞きます
中村 直の仕事を請けられる可能性はかなり低いと思います。(とくにHOについては)ひどい場合には曾孫受け的な仕事になる場合だって可能性としてあります。そうすると、間のリベート等が重なり、かなり低い単価で仕事をしないといけなくなります。けれどもそのような仕事を請けないと生活が苦しいといったのが現状なので、まだまだSOHOは仕事を自ら選べない立場であるようです。
尾形 今の状況では、SOHOのワ-キンググル-プの中の誰かが法人組織をつくり、仕事の契約をしなければなりません。法人化には資金も必要ですがその部分を支援・援助してくれる所がそろそろ出てきてもいいんじゃないかななんて思います。
中村 そうですね。私たちはそのような方面でもちょっと動いてたりしますが、状況としてはどういった感じでしょうね。
尾形 ベンチャ-キャピタルなどはだめですね。本当のベンチャ-支援はしてくれません。もう成功しかかっている所にしか手を差し伸べませんから。
中村 そうですか。残念ですね。SOHOに関する分野はベンチャー事業としてこれからのびると思うのですが。ただ、利益になりにくいといったところはあるでしょうね。
尾形 いままでベンチャ-ブ-ムがなんどかありましたよね?なぜ日本にはベンチャ-企業が育たないと思いますか?
中村 本当の意味でのエンジェルがいないからではないでしょうか?
尾形 そうなんです
中村 やはり、かなりの部分で見返りを求めている。企画をした人間の独自性をはじめの部分でしか正面に出させてもらえない。企画がおもしろいとあとは「こっちがやるよ」的な発想になりがちで、結局よい案であってもその特性を生かさせてもらえない。
もっと長い目や広い目、そして離れた位置から見守るような形でベンチャー企業を育てようといった姿勢を持ってもらいたいです。
尾形 資金提供をする以上、見返りを求めるのはしょうがないのですが、はじめから利益を出す事は不可能ですね
収支の見込みも、インタ-ネットを軸にしたものは過去のデ-タがないわけですから算出しにくいですし
現状からの予測の上でしか数字が出せませんから異業種の方がエンジェル候補として名乗りをあげてくださってもご理解いただけない事が多いですね
こんな状況ですから、とりあえずは行政がエンジェル支援措置を取るようだといいと思います
例えばベンチャ-企業に対して投資には税制上の優遇措置を取るといったような事です
中村 税制上の優遇措置に関しては知りませんが、そういう制度が増えてきてはいるそうです。ただ、日本は工業・製造業で育ってきた国だから、ソフト的な仕事だとなかなか認めてもらえないといったのが現状らしいです。
尾形 そうですね。たとえば企業メセナ協議会のようなものがあればいいと思います。
芸術文化振興事業に対するメセナ活動への投資には優遇措置が設けられており結構活発に参加している大手企業が多いようです。
興味があればメセナで検索してホ-ムペ-ジを見るといいかもしれません
中村 情報を検索するには、最近のWebの活躍はかなりのものになってきていますね。私も何かあったら「ディレクトリサービス」の検索を使うのですが、重宝してます。
尾形 あとは自分達の問題ですね。いかに新しいものを作り出していくか、よいものを作り出していくかです。私たち自身も受け身ではなく提供できる価値のある物を生み出す力をつけていかなくてはなりませんね
中村 この SOHO談義はあるメールマガジンで紹介されたのですが、そういう意味で少しでも何かの役にたってくれればうれしいですね。また、SOHOは黙ってても情報は流れてこないので、積極的に情報収集をする必要がありますね。そういったところで、そのようなテクニックを必要としてきますし、情報の多少によっては仕事上での有利不利がでてくる場合もあると思います。
尾形 情報収集力は必要ですね
それから価値のある情報だけを拾い出す事が重要になります。
これだけ情報があふれている中で必要なものだけを探し出すのは確かに難しいのですが不可能ではありません。
中村 情報収集のサービスは結構ありますが、それらを効率的に利用すれば結構なものになると思います。キーワードでクリッピングできるものなどだとさらに便利ですね。私はNIFTYSERVEのクリッピングサービスを利用しています。
あと、月刊誌ですが、「コンピュータダイジェスト」といった雑誌がありまして、これはコンピュータ関係の新聞の切り抜きが編集されて載っています。
尾形 一番大切な事はSOHO自身が何をしたいのか、何ができるのかということを個々にもっと考えてる事だと思います。そうすれば自分の欲しい情報は何か、有益な情報は何かということがはっきりしてくるでしょう
後半でエンジェルやSOHO支援について触れましたが、私も含めてですがまずは小さい自己資金でできる事をはじめて少しずつ実績を積み上げる事が大切だと思います。
時代はどんどん変わっていますし間もなくあらゆる面でボ-ダレスな世の中になっていくとSOHOは新卒者の選択肢の一つになる様な時もくるでしょう。
中村さんの提供している情報ももしかしたらそういった若い世代の方も見ているかもしれませんね。
中村 こういったテクニックというか情報収集のTIPSのページとかをこれからはもっと多くみなさんに提供していければいいですね。ちょっと時間をさいてがんばってみようかと思います。
また、そのようなページを主宰されている方がありましたらリンクしますのでご連絡下さい。情報提供などのご協力があればとっても助かります。
では、今回の談義はそろそろ終了したいと思います。
尾形 最後に・・・。
どんな風に対談しているのかという問合せがありましたのでその回答ですが、前回も今回もネットミ-ティングというソフトをつかっての対談で、2時間ほどの対談を編集してHTMLにおこしています。
中村さんと私は遠距離で離れているためですが、この対談が成立している事はまさにネットワ-クの発達によるものです。
この2回目からは私たち2人が司会をしゲストを呼ぶという予定でしたが、前回の反響が大きく、もっといろんな話を聞きたいという要望が多かったため何回か私たち2人の対談を公開していく予定です。
お疲れ様でした。
中村 お疲れ様でした。