連載第三十二回目

★応募者が3倍に
こうして「栢野オリジナル」のコピー文章だらけ求人広告を、最初は当時地場NO1クラスだった宝石の「ゆきざき」で試しました。結果は、それまで10人だった応募者が30人と3倍に。次ぎに地場大手のマンションデベロッパー「ユニカ」も効果が5倍に。こりゃーイケルと、新卒媒体のダイヤモンド九州版に取った、ホワイトデーを創案した「石村萬盛堂」、地場大手の「大成印刷」、「トヨタ部品共販」、先日ジャスダックに上場した液卵メーカー「イフジ産業」・・・も、ことごとく成功。
次第に周りの私を見る目も変わり、「栢野に任せたら広告効果が上がる」という評判が立ち始めました。ポイントは前にも話したように「歯の浮くヨイショコピーでない」「マイナス面も書く」「就職希望者が抱く疑問や不安をあえて書き、その解答を書く」・・・まあ、いろいろ在りますが、ウソをつかない、良いも悪いも真実を書く・・・です。ああ、忘れてました。あとは格好いい「文章力」ではなく、「事実」を沢山取材して、情報は「事実」で埋める。形容詞やなんかは避ける。「ウチは明るい会社です」ではなく、「ウチは同好会も15あり、毎年の社内旅行は88回目。昼休みはあちこちで<宴会>してます」なんてね。まあ、広告コピーではなく、取材記事ですね。それを広告に使ったらうまく行った。
★販促広告
それから、求人広告でうまくいくなら、「販促広告」でも行けるんじゃないかと思っていたところ、1年後に特別開発課というか、要は「何でもやって良い」部署に転属。初めて販促・営業広告にもチャレンジしました。最初は浄水器とか温泉などをやってましたが、ある時、趣味でやっていた勉強会「九州ベンチャー大学」に、ある勤務医が参加したいとやってきました。業種は美容外科。聞くと、近い将来の独立を考えているが、医者は世間知らずでバカばかり。こういうセミナー&異業種交流会で勉強したいと。当時28歳だったその青年は、今年の高額所得番付:医者で全国1位、全国でも17位になった、現在の「聖心美容外科」山川総院長です。
いろいろ話しているうち、独立後の集客広告をやってほしいと言われたんですが、既に友人になっていた私は「友人関係で商売はしたくない。他を廻ったら?」と言いました。しかし、電通に行ったら鼻で笑われ、他の大手広告代理店も独立者=代金回収が心配で相手にされない。結局、彼の熱意に押された私は、当時勤めていたアド通信社社内を説得し、引き受けることに決定。大がかりな仕事でしたので、最初は外部のコピーライターを使う予定でしたが、そういう人は「エンドユーザー+経営を意識した営業感覚」がない。しょうがない。じゃあ、また俺がやってみるかと、図書館や本屋に入り浸って専門書を読破。毎日、女性セブンやアンアンを「女になった気分」で読みふけりました。