連載第三十五回目

★1回目の反応は
苦心して創った聖心美容外科の広告でしたが、1回目の反応はちょぼちょぼ。「やはり、歯の浮くようなコピーを書かないとダメなのか。イメージ写真がないのは目立たないのか・・・。」私と山川院長は無言で顔を見合わせ、「うーん」と唸るばかり。
「まあ、全くの無名で新参者だし、2回目に期待しましょうよ」と、広告屋にありがちな無責任な意見を私は言いましたが、こっちは気楽なモンです。反応が在ろうがなかろうが、出した広告代金はもらえる。でも、広告主は反応がゼロでも払わねばならない。モノの購入は、たとえボロでもまだカタチとして結果が手元に残りますが、誠に広告というものは水もので、効果がなければまさに金をドブに捨てることですね。コンサルと同じく、広告は虚業と言われる所以です。まあ、広告屋にとっても、「100万円の広告を出したんだから、100万の利益が上がるような効果を保証しろ!」と言われても困る。効果は広告の出来不出来だけではなく、クライアントや商品の実力に大きく左右されますからね。だからいまだに一部のネット広告を除き、効果保証型の広告はない。でも、そうは言っても、広告を頼まれたからには、貰った金額以上の効果を出したい・・・。
★効果を上げるノウハウ
広告は水ものだが、効果を上げる法則というかノウハウが在るんではないか・・。求人広告で以前よりも効果を上げることに自身があった私は、営業広告でも行けるはずだと、ぼんやりした自信はありました。だが、聖心の1回目は不発。私は良心の呵責に苦しみましたが、でも金はもらえる。まあ、気楽な悩みです。一方の山川さんは・・・。なんと、爪が生えてこなくなったんです。つまり、2回目の広告に失敗すれば、他の医院運営や看護婦らの人件費等も合わせ、資金がなくなる。失敗したら首でもつるか・・・なんて冗談を言ってましたが、精神的に追いつめられて手の指の爪が生えてこなかったですね。爪がね、波打ってキザキザになったんですよ。私は今もコンサルなんて名乗ってますが、昔からこの傍観者のスタンスは変わってませんね。つまり、昔は広告屋で今はコンサル。いつも、リスクをとってやる当事者=経営者に偉そうなことをイイ、中小企業・ベンチャーの支援者なんていいながら、自ら実業はしない。
「やるは社長、あなたです」なんていいながら、結果が出ようが出まいが金は貰う。因果な商売です。まあ、こう言えば、ほとんどの商売はそういう部分がありますがね。なんかいまだに商売というか、ビジネスのこういう胡散臭い部分が好きになれないですね。商売はなんかどこかに騙しがあるが、私生活と同じく「本気・正直」にビジネスをしたい。これは私の永遠のテーマです。・・・なんて当時からうっすらと考えながら、聖心の2回目の広告コピーを考案して出稿。「奇跡」が起こり、一気に軌道に乗ってきたんです。