連載第十七回目

★世間体を気にする人生
その当時、29歳でした。女性もそうらしいですが、結婚は30歳までにはしなければという強迫観念があり、つまり、世間体を気にしていたんですね。大学も最初の就職も今回も、他人から見て格好いいかどうかで選択している。自分に合っているかどうかではない。大体、そういうときは失敗しますね。でもね、29歳やそこらで天職なんか見つからない、わからないと思うんですね。それどころか40歳や60歳になってもわからないのが普通じゃないですかね。私がわかったのは44歳の去年の12月ですからね。そういうもんですよ。
親や評論家やマスコミや大学教授は「最近の若者はやりたいこともわからない。だからフリーターが多い」なんていいますが、それはあんたらがたまたま運良く早くに見つかっただけの強者で、そういう人は弱者=一般の人の気持ちや立場に立てない。だから、お前らの話は面白くないし、役に立たない。でも、マスコミはそういう成功者が好きだから、万が一の人だけを誉めて、でも一般人はそれに憧れるから、凡人なにの天才のマネをする。これを師匠の竹田先生は「天才バカボン」といってます。
経営に強者=大企業のやり方と弱者=中小零細のやり方の2通りがあるように、人生にも弱者には弱者のやり方がある。それを経営・起業系を説いたのが「小さな会社☆儲けのルール」です。この本ではページ数の都合で人生編を入れられなかったですが、それはメルマガや講演、下記にある「楽天日記」で公開してます。
★自殺を考える
さて、そんなノウハウがあるとはつゆ知らずの29歳。3つ目の会社もノイローゼ退社+婚約破棄破談+友人知人にも披露宴招待状を出していて、仕事・女・友人知人を失ったと思いこんだ私は、もう死ぬしかないかもと自殺を考えました。そして踏切に行きましたが、何かの記事で轢死は電車のダイヤを乱し、遺族への損害賠償がスゴイと思い出して断念。薬局で睡眠薬を買おうとしましたが、なかなか言い出せずにリポビタンDを買う始末。飛び降りは怖い。海や川は息がきつそう。ガス自殺は爆発がマズイ。それで車にはねられようかと道を車道に出てワザとフラフラ歩きましたが、体は車道に傾いても足が動かない。結局は死にきれず、彼女の待つ部屋へ帰りました。そして、実は自殺をしようと思っていたと話すと彼女は「なんで勝手にそんなことをしようとするの!?私はどうなるの?!」と泣いてくれました。そんな惨めな男になっても、まだ彼女は私を見放してなかったんです。感動しましたね。そして、彼女の付き添いで生まれて初めて、覚悟して精神神経科を訪問。うつ病と診断されましたが、その時点で会社も辞めました。
★退職・結婚キャンセル
何とか立ち上がって最後の日に会社に出ましたが、社内恋愛でしたから勿論、社内は全員事情を知っています。まあ、皆にしたら「がんばれ」とも「気にするな」とも、何も声をかけられないですよね。最悪の辞め方ですから。静かに挨拶をして会社を去りましたが、振り返ると社内恋愛だった彼女が、何もなかったように笑顔で仕事してるんです。本当に心が痛みましたが、もう何もできない。すまないという気持ちで一杯でしたが、その足で式場と新居の解約に行きました。式場には「式を辞めます」とだけ怒るように言ったんですが、顔を見て察したんでしょうね。「わかりました」と言っただけで手続きをすませてくれました。
そして、友人知人にも電話で「式はなくなった」とかけましたが、誰も理由を聞かず「わかった」と。まさに頭の中は真っ白になり、いったい俺はどうしたらいいんだと、それから数週間、途方に暮れました。