連載第十六回目

★ローンは誰でも組めるワケじゃない?
私が買おうとした22室のアパートは4700万円だ。尋常な金額ではない。「金持ち父さん貧乏父さん」に「ローンを組めばいい」と書いてあったが、実際にそんなことできるのか?
そのアパートを仲介している不動産会社に、銀行ローンを紹介してもらえるか聞いてみた。地元の信用金庫を紹介してくれるという。しかし、借りられるかどうかは別問題だろう。どういう人が審査をパスできるのかを調べることにする。
いくつかのことがわかった。まず、住宅金融公庫のローンは、自分が住む家を買うためのローンだということ。投資目的の中古アパート購入には使えそうにない。当然といえば当然だ。
次に、銀行のローン。銀行はお金を貸すのが仕事だ。貸すためには徹底的にリスクを排除する。担保がなければまず難しい。担保は、借りる金額以上の不動産を担保として差し出す必要がある。保証人も必要だ。職業的には、公務員が最も借りやすい。公務員の次は一流企業勤務。勤務年数は長いほど良い。つまり収入の安定した人だ。高収入よりも安定収入の方がポイントが高いらしい。
且つ、男性。しかも結婚している男性が圧倒的に有利である。家庭を持った男性は無茶をしないからだ。女性はよほどの高所得者か、大企業に勤めていなければ貸してはもらえない。結婚や離婚で何がどう変わるかわからないからだという。
しっかり働いて、ローンを組んで家を買おうという計画的な女性は律儀に返済するはずだ。この上ない上客だと思うが、銀行はそうは思わないらしい。
となると、定職がなくて夫がいない私など、はなからローンの対象になり得ない。唯一可能性があるとすれば、親を連帯保証人にして親が建てた自宅を抵当に入れて、借りることになる。ますます難しそうだ。
ダメ元で親に相談してみることにする。何かの間違いでOKが出るかも知れない。が、予想通り、交渉はあっけなかった。「あかん」の一言で終わり。所要時間約1分。
「今はデフレの時代。デフレの時には借金をするものではない。」
もっともだ。筋が通っている。説得は無理だろう。
不可能なことはあきらめ、可能性のあることを考えることにした。ズブの素人がいきなり大物を狙うなんてそもそも無理がある。まずは最初の一部屋。あとはコツコツと一部屋ずつ手に入れていこう。チリも積もれば山となるはずだ。