連載第二十九回目

★月1回のもう一つの副業
広告代理店の傍ら、ビジネスセミナー交流会「九州ベンチャー大学」を立ち上げましたが、もう一つ月1回の副業をしていました。それは東京での起業に半年で挫折した後でやっていた、船井総研子会社の出版社:ビジネス社「流通ビジネス:月刊フナイ」への連載。
今考えると気恥ずかしい「時代の眼」というタイトルで、私が毎月出逢った元気な起業家のレポートでした。当時のビジネス社は再建途上で人員も少なく、私は福岡へUターンしたんですが、編集長の村上さんから「毎月2ページを任すから」と言われて・・・。
こう書くと人によってはスゴイと思うかも知れませんが、文章力は「小学生並の日記」。ただ、当時参考にしていた新聞&「日経ビジネス」の企業取材やノンフィクション記事を見ていて気づいたのは、「小説家のような文章力はいらない。それは子供でもわかる程度でイイ。素人でもプロに勝てるのは、実際に足を運んでかき集めた事実」と気づき、広告営業や交流会活動で知り合った社長さん達に取材と称して会いまくりました。この仕事自体は毎月3万円程度でしたが、自分にとってはその10倍の価値はありましたね。
当時の流通ビジネスなんて発行部数は5000部もない。しかし、「月刊誌に記事を載せたい」というだけで、相手は喜んで受けてくれました。広告はお金がいるけど取材記事は無料ですからね。それに何となく一般の人は、自分が(屁のような)マスコミに載ることは名誉だと勘違いしている。一部の一流紙を除くと、実際は単なる穴埋め取材が多いんですよ。勿論悪いことはしませんでしたが、私は意識的にこの武器は使わせてもらいました。
★効果の上がる広告
また、前々回に書きましたが、当時勤めていたアド通信社では、求人など簡単な広告コピーは営業マンが自ら作っていたんですが、どうせなら「効果の上がる」広告を極めたい。通常の広告営業では「効果があってもなくても後は知らん」ですが、そういう虚業の部分に心が痛み、同じスペースでも、広告の作り方で効果は違うんではないかと密かな研究を始めました。ここで「流通ビジネス」の取材記事経験が活きたんです。通常の広告はスポンサーが気に入る「ヤラセのヨイショ文章」ですが、純粋な取材記事は読者&エンドユーザーに役立つことが第一。ですから、場合によっては取材先の悪い点やマイナス点も思い切って書きますね。「中小企業診断士は経営コンサルで唯一の国家資格だが内容は机上の空論が多く、民間で通用する人はわずか」とかね(私は2度も試験に落ち、恨みがある:爆)。つまり、同じマスコミでも広告よりも記事の方がはるかに真実度は高い。皆さんも新聞を読む時、実は広告なんかはほとんど飛ばし、記事を見ますよね。広告は胡散臭いコピー文章ばかり…。ある時これに気づき、「広告も大事な情報源。ウソや誇大表現やヤラセは省き、通常の取材記事みたいに真実を書こう」と決意しました。そしてそれを実際に仕事に応用し始めると、面白いように広告効果が上がり始めたのです。